アプリ開発の進め方2〜開発会社の選定、契約と発注

モバイルアプリ
2022.04.02

開発したいアプリの5W2Hが固まってきたら、今度は開発会社の選定と契約・発注の段階に入っていく。

ここでは、開発会社の探し方、見積から契約・発注までの流れを確認しながら、進め方の具体的なイメージができるようにしていこう。

どのように開発会社を探し、選定するべきか

まずは、数多ある開発会社の中から目的に合う会社を探し、見積依頼する会社を数社にまで絞る必要がある。

開発会社を探す際は以下のような方法が考えられる。

  • 1
    キーとなる言葉でインターネット検索する
  • 2
    横の繋がりを使い、紹介して貰う
  • 3
    類似アプリ、または普段使用しているアプリの会社が受託を行っているか調べる
  • 4
    ITの展示会などで探す
  • 5
    中小機構、中小企業庁のサービスを利用する

では、少し詳しく見ていこう。

1.キーとなる言葉でインターネット検索する

記載の通りで、今や誰もが行う最初の手段といえる。「アプリ開発 会社 医療」「システム開発 会社 医療」などのように、自分の作りたいアプリのジャンルと「アプリ開発」「システム開発 会社」と組み合わせて検索することで、希望する開発技術をもった開発会社を探し当てる可能性が高まる。

2.横の繋がりを使い、紹介して貰う

友人、知人、会社の取引先などで、開発会社にあてがないか聞いてみることは案外近道になる場合がある。初めての発注でも、紹介された会社と知人との繋がりが深いほど、ある程度のリスク回避と安心感を持てるだろう。

3.類似アプリ、または普段使用しているアプリの会社が受託を行っているか調べる

多くのIT企業は自社アプリ開発の他に受託開発をしているケースが多いため、既にリリースされているアプリの会社を調べてみることもひとつの方法である。

また、普段使いやすい、こんなアプリが良いと感じているアプリを元に開発会社を探す場合、その会社は良いUI/UXを提案してくれる可能性がある。

4.ITの展示会などで探す

気軽に多くの開発会社への相談や偵察ができるため効率的な方法といえる。

出展している会社は限られているため、展示会の中で決めるというよりは、色々な会社に話を聞き、相談に乗ってもらい、感触を掴むという気持ちで良いだろう。

5.中小機構、中小企業庁のサービスを利用する

サービスの利用条件にマッチする場合は、下記サービスの活用を検討してみて損はないだろう。

補助事業者(開発会社)として認証・登録された企業に開発を依頼すれば補助金が出るしくみである。

開発したいアプリが自社のIT化を進めるようなものや、ITを使うことで売上アップを図る開発の場合、補助金が活用できる。

これは、IT専門家とのマッチングを行ってくれ、仕事を依頼する場合に専門家へ支払う時給を補助してくれるものである。

5W2Hをどう纏めてよいかわからない、ライトな感覚でアドバイスやコンサルティングをして欲しい、発注先の選定を手伝って欲しい、見積の妥当性を見て欲しいなど、シーンや用途に応じて活用すると良いだろう。

見積から契約・発注までの流れ

開発会社を何社か選定し、開発したいものを説明したとして、ポンと見積が出てくる訳ではない。

ごく小さい規模の場合は口頭ベースで発注まで進むケースもあるが、ビジネスに於いてそれは非常に危険な進め方である。

一般的には、5W1H(費用を抜いた要件)を纏めた資料を「RFP(Request for Proposal:提案依頼書)」として提示し、開発会社と打合せを重ね、先方が開発するものをしっかりと理解したうえで見積を依頼する。

会社選定から発注までの流れは、およそ以下の通りである。

  • 1
    候補の開発会社をピックアップ
  • 2
    開発会社をへ開発したいものの説明を行い、打合せなどでQ&Aを重ねる
  • 3
    開発会社をへRFPを提示
  • 4
    開発会社をから見積を貰い、内容を説明して貰う
  • 5
    社内で内容を精査し、質疑をまとめる
  • 6
    最終決定に向け、詰めの打合せを行い、場合によっては再見積を依頼する
  • 7
    最終決定し、契約・発注

「3」のRFPは、作成が面倒だと感じても、以下のメリットがあるため作成しておくべきである。

  • RFPを記載することで自社の検討が深まる
  • 要求の抜け漏れを防ぐ
  • 相見積を出す際、各社同じ条件で見積をして貰うことができる
  • エビデンスや、社内ナレッジとして残すことができる

見積の妥当性をどのように判断するか

提示された見積の妥当性を判断するのは非常に難しい問題である。見積が安い場合は、単純に安いだけなのか、それとも先方の考慮不足や検討漏れも考えられる。

逆に高い場合は、足元を見られているのか、オーバースペックや経験不足なのか、高スキルの会社で単価が高いだけなのか判断が難しい。

そのため、他社にも見積もりをとって比べることは妥当性を判断するひとつの方法である。ただし、その場合でも単純に見積額だけで比較検討するのは非常に危険だ。その会社が本当にプロジェクトをよく理解してるのか、それを実現できる技術力はあるのかという点についてチェックすると良いだろう。

リスクを最小限にするには、なるべく最小限の開発を最初に発注し、フェーズを分けて完成形に繋げていくことが好ましい。

アプリ開発経験がない場合は特に最初から壮大な絵を描きがちで、そのため開発規模も膨らむケースが多いため、「アプリ」という特性を活かして最初は小さく作り、アップデートで成長させていく方法で進めれば、リスクを最小限にしながらも効果的なアプリ開発が行えるだろう。

契約・発注

開発会社を決定したら契約と発注の段階に入る。

契約書は、システム開発の契約に記載されるべき事項が予め記載されていることが殆どであるため、開発会社のひな形を確認し、不足・訂正事項を追記修正していく流れが効率的で良いだろう。

特に、下記は明確に記載して取り決めるようにしていこう。

  • 瑕疵担保責任

リリース後にバグが出るなど、開発会社側に責任がある場合は無料で対応を行うことを契約する。通常、6ヶ月〜1年程度の期間とされることが多い。

  • 著作権と知的財産権

開発したものに対する権利を明確にしておく。

  • 作業範囲、納品物、納品方法、検収方法・時期

認識違いがないよう、ストア申請の有無などの作業範囲、納品時期や成果物、何をもって開発完了とするのかを取り決めておく。RFPまたは先方からのRFQに記載がある場合は、別紙として資料名を記載することもある。

  • 損害賠償責任

開発されたもののセキュリティが甘く情報漏洩が発生した、スケジュール遅延により損失が発生したなど、損害発生時の取り決めである。

  • 支払い時期

アプリ開発は数ヶ月〜年単位になることもあるため、どのタイミングでどのように支払うのかを予め明確にしておく。

システム開発はトラブルになることも多く、その際助けてくれる存在となるのが契約書であり、記載されている内容は非常に重要である。

そのため、最終的にはリーガルチェックを行うなどで安心できる確実なものとしておきたい。

契約書に合意できたら発注となり、いよいよプロジェクトのスタートである。ここからが本番となるので気を抜かずに次の工程に進もう。

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