はじめに|「開発チームを持つ」という選択肢
Webサービスやモバイルアプリ、業務システムの開発を発注する際に、よく話題に上るのが「ラボ型開発」という開発スタイルである。
外部の開発会社にチーム単位でプロジェクトを委ねるこの方法は、柔軟性とスピード感、そして長期的な改善体制を重視する企業に選ばれている。
しかし、いざ導入を検討する段階になると、
「請負開発とどう違うのか」「コストや体制の管理は問題ないのか」「自社に適しているのかが分からない」
といった不安や疑問を抱く発注者も少なくない。
本記事では、ラボ型開発の基本から、メリット・デメリット、導入時の注意点、適した案件例、さらに実際の成功事例に至るまでを丁寧に解説する。
また、DIGILO(デジロ)が支援してきた保守運用まで視野に入れた事例や、ChatGPT APIなどの最新技術に対応した例も紹介し、ラボ型開発を「単なる外注」ではなく、共創型の開発体制としていかに活用すべきかを述べる。
発注側として求められる視点や、信頼できるパートナーを選定するための基準についても具体的に示す。
ラボ型開発の導入や見直しを検討している読者にとって、有益な情報となるはずである。
ラボ型開発とは?|柔軟性とスピードを両立する開発スタイル
ラボ型開発(ラボ契約)とは、一定期間、開発会社の専属チーム(ラボ)を発注者側が確保し、プロジェクトの進行に応じて柔軟に開発業務を進めていく契約形態である。
一般的な「請負型開発」では、納品物や仕様が契約段階で明確に定められる。一方、ラボ型開発では仕様変更や優先順位の変更に柔軟に対応できるため、変化の多い開発現場やアジャイル型のプロジェクトに特に適している。
特徴的なポイント
このように、ラボ型開発は「進めながら考える」スタイルに最適であり、社内に開発チームを持つかのような感覚でプロジェクトを進行できる。
DIGILOでは、ChatGPT APIを活用した実証実験や、医療業界の業務改善アプリのプロトタイピングなど、仕様が流動的なフェーズから支援してきた実績がある。
ラボ型開発のメリット|変化に強いチームで“いつでもアップデート可能”な体制を実現
ラボ型開発は、変化の激しい現代のビジネス環境において、柔軟性・スピード・ナレッジ蓄積の観点から大きなメリットを持つ。本項では、発注者の立場から得られる具体的な価値を紹介する。
柔軟な仕様変更が可能
請負型のように「納品物ありき」の契約ではなく、開発過程において優先順位や仕様の変更がしやすい点がラボ型の強みである。たとえば、ChatGPT APIの活用など、要件が進化するケースでも、逐次方向転換が可能である。
開発ノウハウの蓄積と継続性
ラボチームはプロジェクトに継続的に関与するため、業務理解やコードの資産が自然に蓄積される。DIGILOでは、保守や追加開発を見据えた設計思想のもと、継続しやすいコードとドキュメント管理を徹底している。
コミュニケーションがスムーズ
チーム単位で継続的に関与するため、担当者ごとに説明を繰り返す手間が減り、コミュニケーションコストを大幅に低減できる。SlackやNotionなどを活用した非同期の連携設計にも対応可能である。
優秀な人材を確保しやすい
短期的な請負契約よりも長期的な関係性を前提とした体制となるため、技術的に信頼できる人材を安定的に確保しやすい。DIGILOでは、技術選定の背景まで共有し、上流工程にも踏み込めるチーム体制を提供している。
コスト管理の自由度が高い
稼働ベースで費用が発生するため、プロジェクトの進行に応じて予算の調整がしやすい点も特徴である。固定費化による予測可能性は、経営判断における大きな安心材料となる。
ラボ型開発のデメリットと、その回避策|“失敗しないための前提条件”とは?
ラボ型開発には多くのメリットがある一方で、注意すべきポイントも存在する。ここでは、発注側にとって見落としやすい落とし穴と、その現実的な回避策を紹介する。
チームビルディングに時間がかかる
ラボ型は、継続的な開発チームを育てていくモデルである。そのため、立ち上げ当初はチームの習熟にある程度の時間が必要となる。
回避策:
DIGILOでは、立ち上げ初期から「運用を前提にした設計ガイドライン」と「過去事例に基づくレシピ」を提示し、早期にチームの共通理解と標準化を実現している。これにより、初期フェーズの立ち上がりをスムーズにしている。
最低発注量の縛りがあるケースも
一部の開発会社では「月◯人日以上」といった最低稼働の条件が設けられる場合がある。プロジェクトの規模によっては、稼働を持て余すリスクがある。
回避策:
DIGILOでは、スモールスタートが可能な柔軟な契約設計を提案している。プロジェクトの成長段階に応じて、段階的にスケールできるよう体制を調整している。
発注側にもマネジメント力が求められる
ラボ型開発では、仕様の決定や優先順位の判断など、発注側の意思決定の速さやリーダーシップが成功を左右する。
回避策:
DIGILOでは、開発と要件整理を分離せず、上流工程から伴走する“共同マネジメント体制”を提供している。プロジェクト推進に不慣れな発注者であっても、ストレスなく進行できるようサポートしている。
ラボ型開発と請負型開発の違い|“丸投げ”との違いを明確に理解する
システム開発の契約形態には、大きく分けて「請負型」と「ラボ型(準委任型)」が存在する。発注者が適切な選択を行うためには、両者の違いと役割分担を明確に理解しておくことが重要である。
請負型開発とは
請負型は、完成物の納品をゴールとする契約である。要件が明確に固まっており、スケジュール・コスト・成果物が事前に確定できるケースに適している。
ラボ型開発とは
ラボ型は、特定のエンジニアチームを一定期間確保し、仕様変更や方針転換に柔軟に対応できる契約形態である。中長期のサービス改善やアジャイル型の案件に適している。
丸投げとの違いを理解する
ラボ型は「チームを借りる」スタイルであるため、完全な丸投げとは異なる。開発側と発注側が一体となって進行するため、仕様のすり合わせや設計意図の共有が重要となる。
DIGILOでは、発注者が「開発マネジメントの負荷」に悩まないよう、アーキテクトやディレクターが間に立ち、翻訳・提案を行う体制を整えている。これにより、丸投げのように任せつつも、意思決定の透明性と技術的信頼性を両立している。
ラボ型開発が向いているケース|“ずっと変わり続ける”開発に最適
ラボ型開発は、変化を前提とする開発プロジェクトに非常に適した契約形態である。以下に、実際によく見られる代表的なケースを紹介する。
継続的なアップデートが必要なWebサービス
たとえば、BtoBのSaaSやECプラットフォームでは、ユーザー要望や業務要件に応じて、機能追加や改修が繰り返される。ラボ型であれば、リリース後のPDCAサイクルを支える専任チームが継続的に改善を担うことができるため、スピード感と品質の両立が可能である。
アジャイル型・プロトタイピング重視の開発
要件が流動的であったり、仮説検証を繰り返すスタートアップのプロダクト開発では、ウォーターフォール型よりも柔軟な体制が必要となる。ラボ型開発では、設計・実装・レビュー・修正のループを高速で回すことができ、チームに知見も蓄積されていく。
オフショア・ニアショア開発と組み合わせたいケース
ベトナムや北海道などのコスト効率の高い拠点と連携しながら、長期的な運用・保守を見据えた体制を構築したい場合にも、ラボ型は有効である。DIGILOでは、セキュリティ要件や通信インフラを考慮した設計支援も行っており、安心して拠点分散を実現できる。
要件が固まらないが、開発は急ぎたいケース
「今すぐ開発を始めたいが、仕様がまだ確定していない」といった状況でも、ラボ型であれば初期フェーズから進行することが可能である。たとえば、PoC(概念実証)やMVP(最小機能プロダクト)の開発など、不確実性を含んだ取り組みに適している。
ラボ型開発で成果を出すためのポイント
ラボ型開発は、柔軟かつ長期的な開発に強みを持つ一方で、「任せて終わり」では期待した成果にはつながらない。発注者と開発チームが同じ目線で伴走することこそが、成功への鍵となる。本項では、ラボ型開発を効果的に運用するための重要なポイントを紹介する。
ゴールをすり合わせる「最初の設計」が肝心
たとえ要件が確定していなくとも、プロダクトの方向性やKPI、避けたい事象などは、できる限り初期段階で共有しておくことが重要である。DIGILOでは、開発の前提となるビジネス構想や運用体制の仮説を、ワークショップ形式で共創しながら設計している。
情報共有は「仕組み化」で属人化を防ぐ
SlackやNotion、Backlogなどのツールを活用し、ナレッジや指示を体系的に蓄積するべきである。属人的なやりとりを減らすことで、メンバー交代時のリスクや認識のずれを軽減できる。DIGILOでも、情報共有フォーマットの初期設計を標準支援している。
評価軸を揃えると、改善サイクルがまわる
ラボ型開発では、時間と成果のバランスをとるために、共通の評価軸が不可欠である。たとえば「完了したタスクの数」「バグ再発率」「中長期的なリードタイムの推移」などを定期的に可視化することで、改善の方向性がぶれにくくなる。
「発注者もプロダクトチームの一員」という意識を持つ
単なる依頼者ではなく、チームのパートナーとしてコミュニケーションを重ねる姿勢が、ラボ型開発を最大限に活かすための鍵である。開発メンバーの提案に耳を傾ける姿勢や、仕様調整への柔軟さが、最終的に品質やスピードの向上につながる。
DIGILOのラボ型開発支援|よくある課題と解決アプローチ
DIGILOでは、ラボ型開発の立ち上げから運用フェーズまで一貫して伴走し、「成果が出る運用モデル」をクライアントごとに設計・実装している。以下に、実際によく寄せられる代表的な課題と、それに対する当社のアプローチを紹介する。
課題①:要件が曖昧なままスタートしてしまう
よくある状況:
「まだPoC段階である」「仕様は変わるかもしれない」といった状態で開発が始まり、期待とのズレが生じるケースが多く見られる。
DIGILOの対応:
開発前に仮説キャンバスを用いたワーク設計を実施し、ユーザーの課題・業務要件・非機能要件などを整理する。仕様が変わってもブレない「意思決定の軸」を最初に明文化することで、方向性を明確に保つ。
課題②:外注にするとセキュリティ・運用面が不安
よくある状況:
情報漏洩のリスクや、運用後のメンテナンス対応が後回しになることへの懸念を持つ企業は少なくない。
DIGILOの対応:
AWSやAzureを活用したセキュアなインフラ設計に加え、監査ログ対応やデータ分離設計などの知見を活かし、内部規程や情報管理ポリシーに準拠した開発体制を提案する。さらに、運用フェーズを見据えた設計を初期段階から導入することで、長期的な安心感を提供する。
課題③:継続契約に値する「価値」が見えにくい
よくある状況:
「何をどこまで任せるべきか」「チームを維持する意義はあるのか」といった疑問が、立ち上げ後に生じることがある。
DIGILOの対応:
単なるリソース提供にとどまらず、進行中プロダクトのKPI設計や改善提案を定例ミーティングで共有する。継続の意義がチーム内だけでなく経営層にも伝わるよう、ドキュメントと数値による可視化を徹底している。
まとめ|ラボ型開発を成功させるには?
ラボ型開発は、単なる「外部リソース確保」ではなく、
柔軟性と継続性を両立させながら、組織にとって“自前に近い開発体制”を築ける手段だと言える。
ただしその成功には、「開発パートナーとの関係性構築」「仕様の柔軟なアップデート管理」「運用・保守まで視野に入れた設計方針」といった視座が不可欠である。
DIGILOでは、技術的な信頼性やセキュリティだけでなく、
発注者・利用者双方にとって納得感のある“開発の見える化”を重視している。
こうしたご要望をお持ちの方は、ぜひ一度私たちDIGILOに相談してほしい。
DIGILOからのご提案|ラボ型開発を検討する企業様へ
私たちDIGILOは、生成AI・モバイルアプリ・業務特化型ソフトウェア開発の分野において、多様な業界課題の解決を支援してきた。
柔軟なカスタマイズ対応と高度なセキュリティ設計を強みとし、企業のビジネス成長を支えるテクノロジーパートナーとして選ばれている。
以下のような悩みを抱えてはいないだろうか。
DIGILOでは、以下のような業界・企業に対する導入実績を有している。
DIGILOでは事業フェーズや技術課題に応じた伴走支援が可能である。気軽に相談していただきたい。