MVP開発とは?メリットとデメリット、開発のポイント

ソフトウェア開発
2022.04.16

リーンスタートアップとともに広がりを見せ、多くの経営者や起業家が注目しているMVP開発。

MVP開発とは何なのか、メリット、デメリット、開発におけるポイントについて解説していこう。

MVP開発とは

MVPとは、Minimum Viable Productの略で「顧客に価値を提供できる実用最小限の製品、またはそれを使ったアプローチ」を意味する。

アメリカを筆頭に多くのスタートアップ企業がしのぎを削っているが、スタートアップ企業は資金を得て経営を継続させることがひとつの課題であり、製品をいち早く目に見える状態にし、仮説検証を行うことがビジネスを進める上で重要な要素として捉えられている。

MVPはスタートアップ企業が成功を掴むための手法として「リーンスタートアップ(Lean Startup)」の著者であるEric Riesと、起業家のSteve Blankによって提唱された概念である。

当初、スタートアップ向けの考えとして広まった概念であるが、現在ではスタートアップに関わらず大小様々な企業のプロダクト開発に用いられている。

MVP開発のメリット

1.ビジネスモデルの軌道修正を早期に、学習しながら行える

通常の開発と違い最小限の開発しか行わないため、いち早くプロトタイプを披露したり、市場に投入したりすることができる。

短期間で市場に投入することで顧客のフィードバックを得ることができ、フィードバックをもとにビジネスの方向性の正誤を判断し、次のステップに向け学習しながら戦略的なアクションができることは大きなメリットである。

2.コストを最小限に抑えることができる

いかに開発せずに進めるか、場合によっては開発すら行わずにビジネスモデルの検証を行なうことがあり、また、開発を行なったとしても最小限のため初期コストを抑えることができる。

3.スクを最小限にできる

通常の開発の場合、顧客の本当のニーズや反応がわかるのは多額な費用と時間を投じて開発を完了させ、市場投入してからとなる。

開発したプロダクトが受け入れられないなど、仮説が間違っていた場合は大きな損失になってしまい、また、起動修正も容易ではない。

MVP開発の場合、短期間で市場に投入し顧客の反応を得ることができるため、このままプロジェクトを仮説通り進めて良いのか、軌道修正を行なうべきかが早期にわかり無駄なコストや時間を失うことがないためリスクを最小限にできるといえる。

MVP開発のデメリット

1.エンジニアのスキルに左右される

MVP開発では、コンパクトなチームでスキルの高いエンジニアの参画が成功を後押しする重要な要素である。

短期間で多くのことを行なうため、エンジニアとしてのスキルは勿論、コミュニケーション能力、マネジメント能力も必要となってくる。

ITエンジニア不足といわれるなか、このような推進力の高いエンジニアを確保することはハードルが高く、また、エンジニアの能力がMVP開発の明暗がかかっていることは課題でありデメリットともいえる。

2.古い考えを持ったままの経営陣には理解されにくい

経営陣の考えでMVP開発を行なう場合は問題がないが、プロジェクトの命を受けたチームが現場レベルでMVP開発の進め方が良いと判断する場合も多くある。

企業内のスタートアップ的なプロダクト開発や新規事業では承認される傾向があるが、今まで完成品を作って市場に出してきた企業のプロジェクトではMVP開発の考え方が経営陣に理解されないことがある。

効率や資源を考えた結果、ベストな方法であると確信していても、体裁や古い考えから離れられない企業では許可すらして貰えないという状況も少なくはない。

MVP開発を行なう際のポイント

1.既存の考えにとらわれない

MVP開発では、開発を行なうとは限らない。また、開発を行う場合も必要最小限の範囲で行なう。その「必要最小限」を決めることも、「どのように実現するか」についても既存の考え、既存の開発スタイルを捨てる必要がある。

例えば、顧客目線では十分な機能を提供されているように見えても、ユーザの目に触れない部分は人力で実現するというような方法もしばしば行われる。

このように「どのような方法でも構わないので顧客が欲しがるアウトカムを提供する」という柔らかい発想が必要である。

2.短いタイムボックスを決める

MVP開発のメリットはスピード感をもって実現することにあるため、時間をかけていては意味がない。

最低1日、長くとも数週間を設定し、限られた時間の範囲でできることを考えることも重要である。

どうしてもシステムも機能も綺麗に作りたくなるが、タイムボックスを優先し、ある程度の格好悪さを許容し、作り直すつもりでとにかくローンチさせることでMVP開発を意味のあるMVP開発として成り立たせることができる。

3.可能な限り開発しない

開発を行なうイコール時間と費用がかかることになるため、いかに開発を行わずに済ませられるかを考えるべきである。

もし開発が必要となった場合でも、代用できるサービスを積極的に取り入れMVPを実現させる。

以上MVP開発について解説してきた。

MVP開発は、リスクを最小限にしながら新しいチャレンジができるため、ビジネスを推進するうえで強力な武器となるだろう。

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