どのようなシステム開発でも、開発には多額の費用がかかる。
特にアプリの開発はAndroid、iOS両方の対応や新機種の対応などがあり、開発にもテストにも手間がかかり、その分費用がかさむことになる。
ここでは、アプリ開発を検討している方に向け、開発の費用相場や開発コストを抑える方法をわかりやすく解説していこう。
アプリのタイプ別費用相場
「アプリ」と言っても様々な種類があり、使用する技術や開発規模によって費用も異なってくる。
下記を参考として認識しておくと良いだろう。
<アプリのタイプ別開発費用の相場>
アプリのタイプ | 開発費用の相場 |
ショッピングカート系 | 100万~300万円 |
カタログ・フリーペーパー系 | 50万~100万円 |
通話・メッセージアプリ系 | 100万~500万円 |
ツール系 | 50万~300万円 |
ゲーム系 | 300万~1,000万円 |
SNS位置情報系 | 500万~1,000万円 |
アプリ内課金/多言語/マップ対応 | 各10万~20万円 |
SNS連携/アクセス解析 | 各5万円 |
実際の開発では、ひとつのタイプに収まらない場合が多く、例えば「ゲーム系+SNS位置情報系」や「ショッピングカート系+多言語」のように機能を複数搭載することがあるだろう。
機能が多いほど開発規模も大きくなり、最終的に1億円を超えるようなアプリになってしまうこともある。
開発費用が高くなるのはなぜか
費用が高額になってしまう要素を挙げればいくらでも出てくるが、大きなものとしては下記になるだろう。
- 機能が多すぎる
- 開発期間が短い
- 新技術の利用
- AndroidとiOSそれぞれをネイティブで開発
少し詳しく見ていこう。
1.機能が多すぎる
アプリの企画段階では、どうしても機能が膨らむことが多い。あれもこれも入れたい気持ちはわかるが、昨日の増加は費用やスケジュールの増加に直接的に結びつくため、本当に必要で重要な機能は何なのか、整理したうえで最初はスマートかつシンプルに留めるべきである。
2.開発期間が短い
会社の戦略などでアプリを公開しなければいけない時期が決まっているケースがある。
開発期間がアプリ公開希望日を超える場合、開発会社は人員や環境などの確保を行なうが、人員が多くいれば解決するというものでもなく、その分のリスクが高くなるものである。
また、通常営業時間外の稼働は残業になるため、コストが通常時よりかさむことになるため、特急料金として通常時より費用が高くなる場合がほとんどだ。
3.新技術の利用
アプリの機能を実現するために、新技術の利用や、データ収集・分析が必要な場合など、研究的要素が加わるような開発ではどうしても工数が予測しづらく、費用がかかりやすい傾向にある。
1日あたりの単価が低くても、すでに同様の実績を持ったところに頼んだ方が費用が安く、品質が高くなることもあるため、新技術の利用にかかる工数が極端に多い場合は、同様の実績があるところに見積もりをとってみるのも一つの方法だろう。
4.AndroidとiOSそれぞれをネイティブで開発
Android、iOS、各々使用するプログラミング言語は異なっている。
ネイティブ開発とは、Android、iOSそれぞれのプログラミング言語で開発を行なうことで、これは、結果的に2つアプリを作ることと同じ状態になるため、どうしても費用がかかってしまう。
最近では、flutterやReact Nativeなどのクロスプラットフォームを利用することによってAndroid、iOS両方に対応する方法もあるため、特にネイティブ開発を行う必要性がない場合はそうした方法を検討すると良いだろう。
開発費用を少しでも安くするには
開発内容にもよるが、開発費用を抑える方法として代表的なものに下記がある。
1.フリーランスに依頼する
開発規模が小さく、期間も十分にある場合はフリーランスのエンジニアに依頼することを検討してみても良いだろう。ただし、フリーランス特有のリスクもあるので十分に注意したい。
2.パッケージ製品を利用する
実現したい機能がパッケージ製品のラインナップにある場合は、開発が不要または規模を小さくできるため、期間・費用ともに抑えることができる。
3.オフショア開発
開発規模が小さい場合を除いて、日本の企業に委託するよりオフショア開発の方が人件費が安いため安価になることが多い。
オフショア開発という選択肢
前項の通り、開発費を抑えるにはいくつか方法があるが、今も需要が伸び続けているオフショア開発にフォーカスをあて、その理由やメリット・デメリットなどを紹介していこう。
なぜオフショア開発か
なぜオフショア開発にフォーカスをあてるかであるが、前項の「1.フリーランスに依頼」する場合はそもそも大規模開発が難しかったり、途中で開発が滞った時に連絡が取れなくなったりするリスク場合もあり、全面的にお勧めできる方法とはいえない。
「2.パッケージ製品を利用」する場合、たとえ開発費用が安くても、やりたいことがパッケージ内に収まらないことが多い。機能の妥協をするしかなかったり、多額な運用費が必要となったりする場合もある。
一方、オフショア開発の場合は、日本の企業に発注するように自由度の高い開発が費用を抑えながら行える。加えてスキルの高いエンジニアも多く、国によっては国策としてIT教育が行われており、最新技術にも強い傾向がある。
オフショア開発のメリット
- 費用
オフショアは単価が少しずつ上がっているとはいえ、上手くいけば日本の費用の70〜80%の開発費用で抑えられる場合が多い。
- 人的リソース
日本は慢性的なエンジニア不足に陥っており、欲しいタイミングで人を確保することが難しくなっているが、海外はエンジニアが比較的潤沢で、大規模な開発でも期を逃さずにスピード感をもって進めることができる。
- 多言語、多国展開しやすい
アプリを英語対応させる場合や多国展開する場合、オフショア人材の方が日本人より英語や現地語が得意であり、翻訳コストなどを抑えられる可能性がある。
オフショア開発のデメリット
- 言語、意思疎通の問題
コミュニケーションは一番大きな問題となることが多い。とはいえ、日本より英語教育ができているので日本側が英語を話せればあまり問題にならないだろう。
英語が難しい場合は、日本人がPMを行っているオフショア開発会社を選べば、日本とほぼ同じような感覚で開発を依頼することができるだろう。
- 文化の問題
外国人だけのオフショア会社に頼む場合は、日本人のように、察する、行間を読んでくれるということはないので、その点は注意が必要だ。各国それぞれの文化があり、日本ではあたりまえのことでも他国では全く違う考えの場合もあり、それがトラブルの種になることがある。
特に、オフショア開発に慣れていない場合は、日本人が経営して日本人がPMとして窓口になっている会社を利用した方が良いだろう。
- 地理的問題
海外のため気軽に対面で会うということは難しいことと、会うとしても渡航滞在費がかかる。
しかし、最近は日本でもWeb会議が当たり前になっているため、一度関係性を作ってしまえばプロジェクトを進行する上で大きなデメリットにはならないだろう。
以上、アプリ開発の費用や、費用を抑える方法について解説してきた。アプリ開発の費費用を抑える手段・方法は複数あるため、検討を行なう際の参考としていただきたい。