モバイルアプリのクロスプラットフォーム〜FlutterとReact Native徹底比較

アプリ開発2022.04.28

クロスプラットフォーム開発のフレームワークとして、FlutterとReact Nativeに人気が集まっているが、両者にはどういった違いがあるのだろうか。

今回は、FlutterとReact Nativeいずれかを採用する前に知っておきたい両者の違いを徹底比較していこう。

Flutterとは

Flutterは、Googleにより2018年にリリースされたモバイルアプリ用のフレームワークである。

従来のアプリ開発では、iOSとAndroidの両方でアプリ開発をしなければならず、コストがかさみ、どちらかのみになる場合は訴求ユーザーが半減するという大きな欠点があったが、Flutterには、コードをiOSとAndroidの両方に対応して変換する機能があるため、一度のアプリ開発でiOSとAndroidの両方に対応できるのが大きな特徴だ。

このような異なるプラットフォームで同じアプリが動かせるフレームワークのことを、「クロスプラットフォーム」と呼ぶ。Flutterはリリースから数年しか経っていないが、多数のライブラリと追加コンポーネントが用意されており、最も人気の高いモバイルアプリ用フレームワークだ。

Flutterを使用して開発されたアプリとしては、GoogleAds、eBay、Groupon、Alibabaなどが有名だ。

React Nativeとは

React Nativeは、Facebookにより2015年に公開されたフレームワークで、Flutterよりも歴史の長いクロスプラットフォーム型モバイルアプリ用フレームワークだ。

2013年にFacebook内部のハッカソンプロジェクトとしてスタートし、Reactライブラリに基づいて構築されたjavascriptフレームワークである。

モバイルアプリ用フレームワークとしての歴史が長いことから、Flutterよりも多くのライブラリとコンポーネントがある。

React Nativeを使用して開発されたアプリとしては、Facebook、Instagram、Skype、UberEats、Salesforceなどが有名である。

7つの項目で徹底比較!Flutter vs React Native

両者人気があるフレームワークだが何が違うのか、ポイントとなる7項目で比較してみよう。

1.コアのプログラミング言語

Flutterは、Googleによって2011年に公開された新しいプログラミング言語「Dart」を使用する。

オブジェクト指向プログラミング言語で、Cに基づいており、Javaに似ているためJavaができるエンジニアにとっては学習コストが低い。

React Nativeは、「JavaScript」を使用する。JavaScriptの主な利点は、イベント駆動型の機能とスケーラビリティ、JavaScriptエンジニアの確保のしやすさにある。

2.ドキュメント

どちらも公式ドキュメントや強力なコミュニティがある。

Flutterはチュートリアルなども充実しているが、React NativeはFlutterよりも歴史が長い分アドバンテージがあるといって良い。

3.UI

Flutterは、ネイティブコンポーネントを使用せずSkiaエンジンを使用しているため、高速で複雑なデザインソリューションの作成が行え、OSのバージョンにも依存しない。

React Nativeは、複雑なUIを実現しにくく、フレームワークを介して作成された設計要素が、プラットフォームごとだけでなくバージョンごとにも異なるため、Android5のネイティブ要素はAndroid11と大きく異なってしまう。

そのため、カスタマイズとメンテナンスに関する追加の問題が発生する。

4.パフォーマンス

Flutterはアプリの実行時にコードをコンパイルするため、Flutterアプリのパフォーマンスははるかに高速で、毎秒60フレームのアニメーションの実行速度を実現できる。

一方、React Nativeは、ネイティブコンポーネントと通信するためにJavaScriptBridgeに依存し、明らかにロードに多くの時間がかかる。

5.テストサポート

FlutterはDartを使用しているため、テスト自動化の包括的なサポートが提供されている。

Flutter開発者とテスターは、アプリのユニットテスト、統合テスト、ウィジェットテストのための多数のテスト機能が利用できる。

一方、React NativeはUIレベルと統合テストの公式テストサポートを持っていないため、サードパーティツールを使用するしかない。

また、React NativeはPlayストアやAppStoreへの自動デプロイもサポートされていないため、手動でデプロイする際はXcode、AndroidStudioを使用する必要がある。

6.コードの保守性

Flutterアプリケーションの保守は簡単で、デバッグやサードパーティライブラリの対応などが行いやすい。

React Nativeは、バージョンアップが頻繁に行われるが、その対応とデバッグに時間を取られることがある。

7.開発者の生産性

Flutterにはホットリロード機能があり、デモアプリの使用を開始するのは非常に簡単であるが、Dartは一般的なプログラミング言語ではないため、多くのIDEやテキストエディターでサポートされていない。

React Native開発者がJavaScriptに熟練している場合、生産性はかなり高いといえる。React Nativeにもホットリロード機能があり、UIの変更をテストする際開発者の時間を大幅に節約できる。

開発、運用時にポイントとなる7項目でFlutterとReact Nativeを比較してきた。

どちらにもメリットデメリットがあるが、必ずしもどちらの方が良いというということはできない。両者の特徴をふまえた上で、作成したいアプリがどちらのフレームワークに合うのかを総合的に判断していくと良いだろう。

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